NOJI
私は、存在が生まれる瞬間を描く。
宇宙が始まった瞬間。星が光を放つ瞬間。命が産声をあげる瞬間。 切り株の中心に宿る静かな力。水が渦を巻くとき、そこに見える小さな宇宙。
それらはすべて、同じ一つの現象だと私は思っている。
誕——存在の特異点。
私の作品は、その瞬間を「描く」のではなく、「起こす」装置として作られている。 中心から放射するエネルギー、光と暗闇の境界、空間に生まれる場の変化。 観る人がその場に立つとき、何かが始まろうとしている予兆を感じてほしい。
制作とは私にとって、祈りに近い行為だ。 まだ存在しないものへ意識を向け、それが生まれることを信じて手を動かす。 アトリエも、展示空間も、野外の大地も、すべてその祈りの場になりうる。
北海道の自然の中で育った私にとって、宇宙と大地と生命は切り離せない。
その感覚を、スケールを超えて——
キャンバスから壁画へ、インスタレーションへ、いつかは大地そのものへ——
広げていくことが、私の仕事だ。
1989年、北海道千歳市生まれ。 幼い頃から空想をテーマにした彩度の高い絵を描いていた。 言葉よりも絵を通して他者とコミュニケーションを取ることが多く、 山の稜線を相手に向け、自身は反対側から描くなど、 世界を一方向ではなく関係性の中で捉える感覚を自然と育んでいった。
世界を旅する母から聞いた話や写真、民芸品や布などが身近にある環境で育ったことで、 自然と世界の自然、民族、神話、紋様、文化、哲学への関心を深めていく。 やがて、人が作り出した価値や制度に疑問を抱き、 自然や宇宙の神秘、そしてその完璧さに強く惹かれるようになる。
13歳のとき、友人から借りた宇宙に関する本の中で「超高速粒子タキオン」の説明を読み、 宇宙への関心が決定的となる。 以降、光・夢・魂・宇宙など、目には見えないイメージをテーマに制作を行っている。
文化服装学院 ファッション工科専門課程 アパレルデザイン科 卒業。 卒業後、東京にて約3年間、アパレルおよびCM制作などの仕事に携わる。 その後、自身や人間の生き方・存在意義について深く考えるようになり、 答えを求めて自然やルーツを軸とした自己人体実験的な旅に出る。 ベジタリアン、ヒッピー的生活を経て北海道へ戻り、 アーティストとしての活動を開始。
子どもをはじめ、さまざまな教育機関や福祉施設と連携し、 ワークショップを多数開催するほか、 フェスでの空間装飾、ライブペイント、インスタレーション、 ロゴ制作なども手がける。 近年は、アートの企画・運営・ディレクションなど、 プロジェクト全体に関わる仕事も増えている。